縄のまっちゃん公式ブログ【旧ブログ】

縄のまっちゃんの【旧】公式ブログです。2007年から13年までの記事を保管してあります。

地震多発?


【スポンサードサイト】

ここ数日地震が多いですね〜。

茨城に住んでいますが、東海地震がそろそろ来るのではと、怖くて仕方ないです。

ちなみに今朝も勉強会に出席していると揺れていました。



この程度の揺れで終わってくれれば良いのですが・・・。

地震(じしん)とは、普段は固着している地下の岩盤が、一定の部分を境目にして、急にずれ動くこと。また、それによって引き起こされる地面の振動。正確には、前者を「地震(じしん)」と呼び、後者を「地震動(じしんどう)」という。一般にはどちらも地震と呼ぶ。

過去の地震の情報については地震の年表を参照のこと。

月で発生する地震は月震と呼ばれる。

目次 [非表示]

1 概要

2 メカニズム

3 地震の規模と揺れの指標

3.1 マグニチュード

3.2 震度

4 地震の原因と震源

4.1 プレートの沈み込みによって発生する地震

4.2 プレートの内部で発生する地震

4.3 大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートが地下深部で割れて起こる地震

4.4 火山活動が原因となって起こる地震

4.5 その他の非人為的原因によって起こる地震

4.6 人為的な原因によって起こる地震

5 地震の原因論とメカニズム論の展開

6 地震動・地震波と揺れ

7 地震の多い地域・被害が大きくなる地域

7.1 主な活断層・海溝

7.2 地震の周期性

8 地震による被害と対策

8.1 震災

8.1.1 地震による主な被害

8.2 救助と救援・復興

8.3 地震発生後の対策

8.4 地震発生前の対策

9 過去に発生した地震

10 地震予知

10.1 広く認識されている地震予知

10.2 新しい観測手法

10.3 宏観異常現象による地震予知

10.4 トリガーによる推定

10.5 地震予知の問題点

11 日本における地震対策と体制

11.1 個人で出来る地震対策

11.2 集団による地震対策

12 その他

13 脚注

14 関連項目

15 参考文献

16 外部リンク



[編集] 概要



兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)によって発生した野島断層。地震震源断層ではなく、地表地震断層である。

地震計で観測された地震動のグラフ。通常は地震というと地震動を意味することが多い。また、地下で断層が動いた境目(地震波の発生源)を震源と呼び、地上における震源の真上の地点を震央と呼ぶ。テレビや新聞などで一般的に使用される震源図は震央の位置を示している。一度の地震により付近で複数地震が連動するように発生することが多く、これらの震源が集中しているところを震源域と呼ぶ。

地震を発生させた断層を、その地震震源断層という。また、震源断層のずれによって地表にも地面のずれが露出することがあり、これを地表地震断層(または地震断層)という。震源断層のずれが地表にまで露出していない場合は、潜在断層と呼ぶことがある。

地震により発生する振動波を地震波と呼ぶ。地震波には、地表を伝わる「表面波」(レイリー波・ラブ波)と岩盤中を伝わる「実体波」(P波・S波)がある。被害を引き起こすような揺れのもとは主にS波だが、レイリー波、ラブ波、P波も振幅や周期によっては被害を引き起こすような揺れとなる。

規模の大きな地震は、本震の他に前震・余震を伴うことがある。本震の前に起こるものが前震、後に起こるものが余震である。ただし、本震の区別が容易でない地震もあり、断層のずれの程度や前後に起こる地震の経過、断層の過去の活動などを考慮して判断される。

大半の地震は1回の岩盤のずれのみで終わることは無い。規模が大きな地震であるほど、本震の後に起こる余震の回数・規模が大きくなる。この余震の経過を示す法則には大森房吉が発見した「余震の大森公式」を改良したものがある。なお、地震の規模と前震の回数・規模は関連性が薄い。

厳密には、M(マグニチュード)7以上の地震を大地震、M5以上M7未満を中地震、M3以上M5未満を小地震、M1以上M3未満を微小地震、M1未満を極微小地震と言うが、学術分野で使われることが多い。一般的には、死者が出たり甚大な被害が出たりするような地震を大地震、M8以上の地震を巨大地震と呼ぶ。多数の地震が長期間にわたって集中して発生するような場合は、これを群発地震と呼ぶ。

火山のマグマの上昇などによって起こる火山内部を震源とする地震火山性地震、爆薬などにより引き起こされる震動を人工地震と呼ぶ場合がある。人工地震に対し、自然に発生する地震を自然地震と呼ぶ。震度や地震波の規模が小さい割りに、大きな津波が起こる地震津波地震という。



[編集] メカニズム



地震の発生途中における断層面と地震のメカニズムの模式図。

2:震央

3:断層面の走向

4:断層面の傾斜

5:震源

6:断層面のある平面

7:破壊されている断層面

10:すでに破壊された断層面

8 + 11:断層面 または 震源域(断層の最大破壊域)

地震のメカニズム解(cmt解 または 初動発震機構解)の図。地震計の観測結果を基に図に表し、断層の位置や動いた方向を解析する。地球の表層はプレートと呼ばれる硬い板のような部分でできており、そのプレートは移動し、プレート同士で押し合いを続けている(プレートテクトニクス)。そのため、プレート内部やプレート間の境界部には、力が加わり歪みが蓄積している。この歪みが限界を越えたとき、岩盤内部の一点から破壊が始まり、急激に岩盤がずれて歪みを開放し始める。これが地震の始まりである。そしてこの点が震源であり、破壊されてずれた部分が断層となる。

このずれた部分は、地震波を解析する段階では便宜的に平面(断層面または破壊面と呼ぶ)と仮定し、断層面の向き(走向)や断層面の鉛直方向に対する角度(傾斜)、震源の位置、地震の規模などを推定する。震源断層が曲がったり複数あったりする場合は、後の解析や余震の解析により推定される。

震源で始まった岩盤の破壊は、多くの場合秒速2〜3kmで拡大していく。

関東地震では神奈川県秦野市の直下約15kmの所から破壊が始まり、破壊は放射状に伝播して40〜50秒で房総半島の端にまで至り、長さ130km、幅70kmの断層面を形成した。

兵庫県南部地震では、明石海峡の地下17kmで始まった破壊は、北東の神戸市の地下から、南西の淡路島中部にまで拡大し、約13秒で長さ40km幅10kmの断層面を形成した。

また、破壊された岩盤は、速いときで秒速数mでずれを拡大させていく。

関東地震では小田原市秦野市の地下と三浦半島の地下で特に大きなずれを生じ、約8秒で7〜8mずれた。

このようにして破壊が終結すると、一つの地震が終わることになる。この断層面の広さとずれの大きさは、地震の規模と関連している。多くの場合、断層面が広くずれが大きくなれば大地震となり、逆に小さな地震では破壊は小規模である。

こうして一つの地震が終結しても、大地震の場合は断層面にはまだ破壊されずに残っていて、歪みをため込んでいる部分がある。それらの岩盤も次第に破壊が進む。それが余震である。

一方で、前震の発生のメカニズムについては、本震を誘発するものだという説、本震に先駆けて起こる小規模な破壊だという説などがあるが、はっきりと解明されていない。

本震の後に余震が多数発生する「本震-余震型」や、それに加えて前震も発生する「前震-本震-余震型」の場合は、地震を起こす力となる応力が一気に掛かって発生すると考えられている。一方で群発地震の場合は、応力が長期間徐々に掛かって地震が多数発生すると考えられている(水やマグマなどが原因とする説もある)[1]。



[編集] 地震の規模と揺れの指標

[編集] マグニチュード

詳細はマグニチュードを参照

地震の規模を表す指標の一つにエネルギー量を示すマグニチュードがあり、「M」と表記する。マグニチュードには算定方法によっていくつかの種類がある。日本では、気象庁が独自の定義による気象庁マグニチュードを発表しており、地震学では「Mj」と記される。これに対し、多くの国では表面波マグニチュード(Ms)のことを、単にマグニチュードと呼ぶことが多い。他にもそれぞれの観測機関によって使用されるマグニチュードのタイプが異なる場合もあるが、差は最大でも0.1〜0.3程度である。が、これらは最初にマグニチュードを定義したチャールズ・リヒターのものの改良版であり、基本的に地震動の最大振幅を基礎とする。いずれも8.5程度以上の大地震ではその値が頭打ち傾向になることから、地震学では地震モーメントから算出されるモーメント・マグニチュード(Mw)と呼ばれる値が地震の規模を表す指標として用いられている。



[編集] 震度

詳細は震度を参照

地震動の大きさを表す指標には一般に広く使われている震度のほか、地震動そのものの最大加速度や最大速度が用いられる。建築物や土木構造物の耐震設計の分野では応答スペクトルやSI値という指標も、地震動の大きさを表す方法として広く用いられている。

震度については、日本では気象庁震度階級、アメリカ合衆国では改正メルカリ震度階級、ヨーロッパではヨーロッパ震度階級(EMS)、CIS諸国やイスラエル、インドなどではMSK震度階級が現在使用されているほか、ほかにもいくつかの指標がある。

地震の規模が大きいほど震度は大きくなる傾向にあるが、断層のずれの方向や速度、震源の深さ、地面の構造や性質によって地上の揺れは大きく異なる。



[編集] 地震の原因と震源



3種類の断層。上:逆断層、中:正断層、下:横ずれ断層。プレートテクトニクスも参照

研究段階であり完全に解明されたわけではないが、通常の地震はプレート運動により地殻内で応力が局所的に高まり、岩体の剪断破壊強度を超えて断層が生じあるいは既存の断層が動くことが原因であると考えられている。大きな地震では震源に近い別の断層が同時に動くこともある。火山活動に伴う地震火山性微動)には断層と関係が無いものも多い。

断層を原因として発生する地震には大きく3種類ある。3種類の地震とも原因はプレートテクトニクスで説明できるとされている。

尚、2005年8月発表の京都大大学院理学研究科の嶋本利彦(構造地質学教授)らの研究によると、地震発生時に断層のすき間に水がある場合、断層のずれと水圧によって、強い地震の波が起きるとされている。



[編集] プレートの沈み込みによって発生する地震

日本周辺では海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み、両者の境界が応力により歪みを受け、ばねのように弾性力を蓄え、やがてそれが跳ね返る時に地震が起こると考えられている(弾性反発説)。跳ね返りで発生するといっても、実際は2つの地盤の面がずれて起こるもので、ずれた面を「断層」と呼ぶこともある。マグニチュード8クラスの大きいものはおよそ100〜200年周期で発生し、海溝型地震[2]とも呼ばれている。規模が大きいときには、海域での地震発生に伴って、津波が発生することがある。震源断層は海洋プレートと大陸プレートの境界そのものである。震源域が広く規模が大きいため、被害が広範囲にわたることがある。

日本付近では2003年9月に発生した十勝沖地震や、近い将来の発生が指摘されている東海地震が例として挙げられ、東南海・南海沖の南海トラフ宮城県沖や三陸沖の日本海溝根室沖などの千島海溝でも発生する。震源地は地面の下だが、関東大震災の原因となった関東地震も相模トラフの地震であり、この分類に含まれる。日本以外でもメキシコやチリ沖などの太平洋沿岸で大規模な海溝型地震が発生する。

なお、2005年8月16日発生の宮城県沖のM7.2の地震はこのタイプであったが、想定されている再来宮城県沖地震ではないという結論が同年8月17日の地震調査委員会で出された。



[編集] プレートの内部で発生する地震

大陸プレートが海洋プレートに押され続けたその力に耐えかねてあちこちでひび割れ、押された力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動くこととして説明される。このときに生じるひび割れが活断層である。岩盤が断層を境に上下にずれるのが通常であるが、場所によっては水平にずれることもある(詳細は断層を参照のこと)。地震の規模は活断層の大きさによるが、大きいものではM7〜8に達する。内陸の活断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、直下型地震[3]とも呼ばれる。

このような構造は、大陸プレート同士が押し合い衝突しているヒマラヤ山脈北側、海洋プレート同士が押し合い一方がもう一方の下に沈みこんでいる伊豆・小笠原海溝西側やケルマデック海溝西側などにもみられ、ここでも押されている側のプレートの内部にひび割れ(断層)ができて地震が発生する。また、押している側の海洋プレート内部でもひび割れ(断層)ができて地震が発生することもあるが、頻度が低く規模も小さい。

同一の活断層での発生は数百年から数万年に1回の頻度とされている。都市の直下で発生すると甚大な被害をもたらすことがあるが、大きな揺れに見舞われる範囲はプレート境界でおこる地震と比べると狭い領域に限られる。

1995年1月の兵庫県南部地震(M7.3、最大震度7)や2000年10月の鳥取県西部地震(M7.3、最大震度6強)、2004年10月の新潟県中越地震(M6.8、最大震度7)や2007年3月25日に発生した能登半島地震(M6.9、最大震度6強)などが該当する。日本以外でも、アメリカの西海岸、フィリピン、インドネシアアフガニスタン、イラン、トルコ、ニュージーランドなどにも活断層が密集しており、大きな直下型地震が発生する。このタイプの地震の発生を予測するために、地震学者たちは1980年以後日本全土の活断層を調査し、危険な断層を順次評価している。兵庫県南部地震の前に公表された活断層の地図には他の大断層類と同時に「危ない断層」として有馬・高槻・六甲断層帯が危険と表示されていた。この調査作業は現在も継続して続けられている。



[編集] 大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートが地下深部で割れて起こる地震

海溝を経て大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートは、マントルの中を沈み込んでいる途中で割れたり、地下深部でスタグナントスラブとなって大きく反り返って割れたりして、地震を発生させることがある。スラブ(板=プレート)の中で発生するので、スラブ内地震、プレート内地震あるいは深発地震などと呼ばれる。

一般に震源が深く、したがって震源と震央の距離は長い場合が多いにもかかわらず、規模が大きなものは被害としては侮れない。また深い分、広範で最大震度に近い揺れに見舞われることにもなる。地震波の伝わりやすさは、プレートの位置関係やマントルの深さなどでそれぞれ異なるため、震源から離れた場所で揺れが大きくなる異常震域が発生しやすいのも特徴である。

近年の例では、1987年の千葉県東方沖地震(M=6.7、深さ50km、最大震度5:千葉県全域)、1992年2月の浦賀水道地震(M=5.7、深さ92km、最大震度5)、1993年1月の釧路沖地震(M=7.5、深さ101km、最大震度6)や2003年5月の宮城県沖の地震(M=7.1、深さ72km、最大震度6弱、広範で5弱以上…山形県村山市でも計測震度4.8を記録、建物被害あり)のような被害事例が見られる(注:2003年9月17日に気象庁によってマグニチュード算出方法が改訂されたが、これにより過去の地震も修正された。ここではそのマグニチュードを用いている)。

福島県沖や茨城県沖で頻繁に発生する地震のほか、1993年1月の釧路沖地震、2001年3月の芸予地震や2003年5月の宮城県沖の地震もこのタイプである。



[編集] 火山活動が原因となって起こる地震

海溝の周辺の火山弧、ホットスポット、海嶺、ホットプリュームの噴出地域では、マグマの移動や熱せられた水蒸気の圧力、火山活動に伴う地面の隆起や沈降が原因となって地震が発生する。これらの地震火山性地震という。



[編集] その他の非人為的原因によって起こる地震

このほかに、海洋プレート同士または大陸プレート同士の間にある海嶺に、交差して並ぶトランスフォーム断層で起こる地震がある。これはプレートの内部で発生する地震直下型地震、断層型地震)とほぼ同じメカニズムで発生するが、断層が地下深くにまで広がっている点が異なる。



[編集] 人為的な原因によって起こる地震

人間活動が引き起こす地震もある。1つは、ダムの建設や地面の掘削・造成、石油や天然ガスなどの採掘が地下構造を変え、地震を誘発するものである。(誘発地震)1940年にアメリカフーバーダムで起きたM5の地震や、1967年12月10日にインドのマハラシュトラ州西部で起きたM6.3の地震は、貯水池の建設や貯まった水の水圧によって誘発されたものだった。もう1つは、爆弾の爆発によるいわゆる人工地震である。1961年10月30日にロシアのノヴァヤゼムリャで行われた核実験(ツァーリ・ボンバ参照)では、約M7に相当する揺れが発生した。



[編集] 地震の原因論とメカニズム論の展開

日本では古来より「地中深くに大ナマズが存在し、その大ナマズが暴れることにより大地震が起きる」という俗説が信じられていた。その為なのか、一部の人々には今でもナマズが暴れると大地震が来ると信じられている。だが、ナマズが地震を予知できる根拠は見つかっていない。また、鹿島神宮にはこの大ナマズを抑えるという要石があり、地震の守り神として信仰されている。地震避けの呪歌に、「ゆるぐともよもや抜けじの要石鹿島の神のあらむ限りは」というものがある。

中国では古来から、陰陽説の考え方を背景にして、地震とは陰の性質を持った大地から陽の性質を持った大気が出てくるときに起こるものという説明があった。

北欧神話においては地底に幽閉されたロキが、頭上から降り注ぐ蛇の毒液を浴びたときに震えて地震が起きるとされている(詳細はロキを参照のこと)。ギリシア神話ではポセイドン地震の神とされた。

一方、古代ギリシアでは、自然哲学者アナクシメネスが土が大地の窪みにずり落ちることが原因だと考えた。アナクサゴラスは地下で激しく水が流れ落ちることを原因と考えた。その後、アリストテレス四元素説を基に、地震は地中から蒸気のようなプネウマ(気、空気)が噴出することで起こると説明した。これらを受けて、セネカは地下での蒸気の噴出によって空洞ができ、そこの地面が陥没するときに地震が起こるという説を立てた。時は変わって、アラビアではイブン=スィーナーが、地面が隆起することが原因だとする考えを示した。

18世紀には、リスボン地震をきっかけにジョン・ミッチェルが地震の研究を行い、火山の影響で地中の水蒸気が変化を起こすことが原因という説を発表した。

19世紀末には、お雇い外国人として日本にいたジョン・ミルンやジェームス・アルフレッド・ユーイングが地震を体験したことがきっかけとなり、世界初の地震学会として日本地震学会が設立され、地震計の開発や地震の研究が一気に進み始めた。地震の波形から震源を推定する方法が発見されたり、アンドリア・モホロビチッチがモホロビチッチ不連続面を発見して地球の内部構造の解明の足ががりとなったりした。後に帰国したミルンはイギリスで地震の研究を進めて同国に近代地震学が確立されるきっかけを作り、現在イギリスには世界中の地震の観測情報を集積している国際地震センター(ISC)が設置されている。

また20世紀に入って、リチャード・ディクソン・オールダムが地球の核(コア)を発見、ベノー・グーテンベルグがグーテンベルク不連続面を発見するなどし、地球物理学が次第に進展するとともに、アルフレート・ヴェーゲナー大陸移動説から発展したマントル対流説や海洋底拡大説がプレートテクトニクスにまとめられ、地震の原因として断層地震説と弾性反発説が定着した。

ただ、断層地震説と弾性反発説によって一度否定された岩漿貫入などは、2説を補完する説として考える学者もいる。また、地球空洞説に原因を求めるなど、これらとはまったく異なる説を展開する学者や思想も、少数ながら存在している。



[編集] 地震動・地震波と揺れ



地震の波形。黒:東西動成分、青:南北動成分、赤:上下動成分。

P波とS波の伝わり方を示した動画断層のずれによって発生した振動は、地震波という形で周囲に伝わる。地震波には大きく分けて実体波と表面波の2つがあり、実体波はP波とS波、表面波はレイリー波とラブ波にさらに分類される。一般的に地震計で計測されるのは実体波のみであり、震度やマグニチュード震源位置の推定などは実体波の計測結果から計算される。地震が発生したとき、基本的には、初めに小さなゆれを起こすP波が来て、少し経ってから大きな揺れを起こすS波が来る。しかし、揺れの大きいP波によって被害が出ることもあるほか、震源が近くにある場合はP波とS波がほぼ同時に到達することもある。地震波を振動として捉えた場合は地震動と呼び、両者は使い分けられる。

地表では、P波による揺れが始まってからS波が到達するまでは、初期微動と呼ばれる比較的小さい揺れに見舞われる。その後、P波が到達した後は主要動と呼ばれる比較的大きい揺れとなる。また震源から近い場所では、P波が到達する前後にレイリー波も到達し、同じく揺れを引き起こす。海上の船などでは、P波のみによって発生する海震と呼ばれる揺れに見舞われる。

被害を引き起こすような揺れのもとは主にS波だが、レイリー波、ラブ波、P波も振幅や周期によっては被害を引き起こすような揺れとなる。地震波(振動)の周期が、被害を受ける構造物(あるいは構造物の固有振動)と関係していることは、地震工学や建築工学においては重要であり広く知られているが、一般的な知識としてはあまり浸透していない。

例えば、日本家屋のような木造住宅は周期1秒前後の短周期地震動が固有振動周期にあたるため、周期1秒前後の地震動によって共振が発生し非常に強く建物が揺さぶられ、壊れやすく被害が拡大しやすい。一方、高層建築物は周期5秒以上の長周期地震動が固有振動であり、地震波が堆積平野を伝わる過程で発生しやすい長周期地震動によって、平野部の高層建築物の高層階では大きな被害が発生する。このほかに、M9を超えるような巨大地震の際に観測される、超長周期地震動または地球の自由振動と呼ばれる周期数百秒以上の地震動がある。この超長周期地震動の中には地球の固有振動周期に当たる地震動もあり、地球全体が非常に長い周期で揺れることもある。

地下の構造、特に地面に近い表層地盤の構造や地下のプレートの構造によって、地震動全般に対する揺れやすさ、揺れやすい周期、あるいは地震波の伝わり方が異なる。そのため地震の際、震度が震央からの距離に完全に比例して、きれいに同心円状に分布することはほぼない。稀に震央と異なる地域で揺れが最も大きくなることがあり、異常震域と呼ばれる。

また、多くの地震計は周期0.2〜0.3秒前後の地震動を感知しやすいため、周期0.2〜0.3秒で大きく周期1秒で小さい地震では震度に比べて被害が軽かったり、逆に、周期0.2〜0.3秒で小さく周期1秒で大きい地震では震度に比べて被害が甚大だったりといったことが起こる。ただし、これには地震計の設置場所と地下構造の問題もあるとされる。[1]

地震の揺れの速度を表す単位として、カイン(=センチメートル毎秒)がある。また、地震の揺れによる加速度を表す単位として、ガル(センチメートル毎秒毎秒)がある。1秒間に1カインの加速度が1ガルである。

地震動や地震波は地震計により観測される。揺れの周期や感度、振幅などにあわせてさまざまな種類のものがある。震度を算出したり、観測データを集めて震源の位置や規模などを推定したりする。



[編集] 地震の多い地域・被害が大きくなる地域



「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」。内閣府地震・火山対策担当が作成。2005年10月19日発表。主な地震震源を地図にして地球の表面を概観すると、プレートテクトニクスの考え方でいう環太平洋造山帯アルプス・ヒマラヤ造山帯の周辺は地震が特に多い地域があることが分かる。前述の2つの造山帯も含めた新期造山帯で最も地震が多く世界の地震活動の大部分を占める。このほか、ヨーロッパ西部やアジア北部などの古期造山帯でも比較的多く地震が発生する。

これらの地域は造山帯または地震帯(火山に着目した場合火山帯とも呼ぶ)と呼ばれ、地殻や地面の活動(移動)が活発で、地震も活発である。しかし、この地図はあくまで一定期間に発生した地震を集計したものであり、「地震の起こりやすさ」を表したものである。この地図で地震が少ない地域でも、絶対に地震が発生しないわけではない。

地震による(人間への)被害が大きくなる地域は、地震の多い地域とは異なる。周囲の断層の多さ、地盤の揺れやすさ、人口密度の大小、建造物の強度などによって被害が異なるためである。大地震が起きても人のあまり住んでいない所で起きれば被害も少ないが(鳥取県西部地震など)、大都市や町の近く(約50km以内)で起きれば大きな被害が出るおそれがある。[4]また、地震が発生する時間や時期などによっても被害は異なる。



[編集] 主な活断層・海溝



1963年から1998年に発生した地震の分布図。地震の震央の分布にはっきりしたパターンがある。周期的に地震を発生させている断層を活断層という。また、古い断層の跡や活褶曲も、地震を発生させる確率が比較的高いとされているほか、活断層が無い地域に新たに断層が発生する可能性も否定できない。そのため、活断層の調査を中心とした地震防災に対する批判も存在している。

地球上の活断層(地溝・海溝などを含む)のうち、主なものを挙げる。これらは周期的に大地震を発生させるものが多い。このほか、地震活動が活発で多くの活断層を擁する歪集中帯と呼ばれる地域がある。

断層

詳細は断層#代表的な活断層の例を参照

糸魚川静岡構造線(日本、本州中部)

中央構造線(日本西部 ※活断層部分のみ)

アルペン断層(ニュージーランド北島)

カラヴェラス断層(アメリカ、サンフランシスコ・ベイエリア)

デスヴァレー地域(アメリカ中西部)

ヘイワード断層帯(アメリカ、サンフランシスコ湾東岸)

サンアンドレアス断層(アメリカ、カリフォルニア州

ニューマドリッド断層帯(アメリカ中部)

グレートグレン断層(グレートブリテン島スコットランド

アナトリア断層帯(トルコ北部)

スマトラ断層(インドネシアスマトラ島

海溝・沈み込み帯

詳細は海溝#主な海溝を参照

カスケード沈み込み帯(北アメリカ西海岸沖)

千島海溝(千島列島南岸)

日本海溝(北海道・東北・関東沿岸)

相模トラフ(相模湾沖)

駿河トラフ(駿河湾沖)

南海トラフ紀伊半島・四国沖)

スンダ海溝(ミャンマー沖〜スマトラ島南岸)

ジャワ海溝(ジャワ島南岸)

中央アメリカ海溝(中央アメリカ西岸

ペルー海溝(ペルー沿岸)

チリ海溝(チリ西岸

ケルマデック海溝(ケルマデック諸島東岸)

[編集] 地震の周期性

プレートや地表の動きが数百年程度の間、長期的に見て一定であれば、それぞれのプレートの境界や断層で起こる地震は一定の周期で起こると考えられており、ひずみの蓄積と開放というサイクルを繰り返す。実際に、プレートの境界でおこる南海地震東南海地震東海地震宮城県沖地震などでは周期性があるとされているほか、アナトリア断層帯でも周期性が確認されている。

プレートの境界においては50年〜300年[5]、断層においては数百年〜数十万年と、地震の周期はそれぞれ異なる。そのため、周囲のプレートの境界や断層でのひずみの影響を受け、それぞれのサイクルで、ひずみのかかり具合が毎回異なり、地震の周期が多少ずれることも考えられる。

1つの周期をもって繰り返し起こる一連の地震の活動のなかには、大きく分けて、ひずみの蓄積、前駆的地震活動、静穏化(空間的に見れば空白域)、前震、本震、余震などがある。このサイクルには規則性があると考えられており、観測によって現在どのような活動に当たる時期かを知ることで、地震予知に役立てようという動きがある。

専門家の一部は、1995年の阪神大震災をはじめとして、「西日本(西南日本)は本格的な地震の活動期に入っているのではないか」と推測しており、西日本で周期的に発生している南海地震東南海地震、またそれに連動して東海地震の発生が近づいていることを指摘する声もある(西日本地震活動期説参照)。ただ、これを否定する専門家もおり、活動期であるかどうかを判断するための資料が少ないことを指摘する声もある。



[編集] 地震による被害と対策



阪神・淡路大震災により傾いたビル



地震により激しく揺さぶられ散乱した食器類。1968年ニュージーランドにて



阪神・淡路大震災時の消火活動



スマトラ島沖地震津波により家を失った人たちのスラム街。2005年インド・チェンナイにて



新潟県中越地震で被害を受けた道路と橋、地震



新潟県中越地震で被害を受けた道路と橋、復旧後

[編集] 震災

詳細は震災を参照

地震による災害のことを震災(しんさい)と言う。特に激甚な被害のあった震災のことを大震災と言い、地震とは別に固有の名称がつけられることがある。例えば関東大震災阪神・淡路大震災などである。ただし、命名するか否かは気象庁長官の判断に委ねられる。新潟県中越地震では、気象庁ではなく新潟県によって「新潟県中越大震災」という呼称がつけられている。



[編集] 地震による主な被害

窓が割れる。建造物のひび割れ、倒壊、崩壊。

家具や置物の転倒、飛散。

火災。強風を伴った場合の火災旋風。

がけ崩れ、地滑り、液状化現象、地割れ、地盤の緩み、河道閉塞。寒冷地での雪崩。

津波による、家屋や建造物の流失、人的被害、衛生環境の悪化などの諸被害。

道路や橋、鉄道、水道、ガス管、送電線、電話線などのライフラインや通信網の遮断。帰宅困難者の発生。

商品や工場への被害や経済的損失。寡占商品が被害を受けた場合の経済全体への影響。

文化財や天然記念物、景観などへの被害。文献や史料の損傷、紛失。

怪我、生命への危険。及びノイローゼやPTSDなどの心理的被害。

物資の不足、食糧不足、水不足。

医療サービス、公共サービス、行政サービスなどの低下、機能停止。

窃盗や支援物資の奪い合い、暴動などの治安の悪化。震災を利用した詐欺などの犯罪。デマによる被害拡大。

水やごみによる衛生環境の悪化、感染症の流行。

地震による被害の過大報道、誤報などによる風評被害

長期的に見て、地震による被害は縮小する傾向にある。これは、建造物の耐震化や地震に強い社会基盤の形成、さらに地震に関する知識や防災意識の浸透によるものが大きい。



[編集] 救助と救援・復興

地震が発生したとき、基本的には自分たちの出来る範囲で救助・救援を行わなければならないが、消防団や地域コミュニティも大きな担い手となる。地震による大きな被害が生じたとき、離島・山間部や過疎地では救助・救援ともに遅れがちとなる。またどこでも、被害が大きい場合は救助・救援の手が回らない場合がある。このようなとき救助・救援の中心となるのが消防団や地域コミュニティだといわれている。

近年は、ボランティアによる救助・救援も増えてきている。救助活動や安否確認のほか、避難生活の支援、復旧活動などに、物資や金銭を送ったり、実際に出向いたりといった形で支援が行われる。また、建物の中に人が閉じ込められることが多い地震被災地において、災害救助犬も多く活動している。一方、新潟県中越沖地震の例のように、ボランティアの超過や不足による混乱も生じており、ボランティア環境は不十分なところもある。



[編集] 地震発生後の対策

また、被害の拡大を防ぐために、地震津波の情報を迅速に伝達することも重要とされる。NHKでは、震度6弱以上の揺れを観測する地震の発生や、津波警報が発表された場合、国際放送(NHKワールド)を含むテレビ・ラジオのすべての番組を中断して、地震津波の情報を伝えている(8波全中)。テレビでの地震情報は総合テレビ、衛星放送全チャンネル(衛星放送は震度3以上のみ)でテロップ表示を行う(教育テレビでも稀に表示される)。ラジオではラジオ第1放送で該当地域のみ番組を中断し放送される(FM放送はラジオ深夜便の放送時のみに限られる)。FM放送は日中の放送では地震情報は放送されないが、津波が発生する可能性がある地震に限り番組を中断して放送される。NHKワールド・ラジオ日本については全国一斉に流れる場合に限り放送される。NHK以外の民放でも、概ね震度3以上の地震発生時、あるいは津波情報発表時にはテロップ表示を行う。このほか、コンピュータで地震津波の情報を配信・共有するP2P地震情報などのソフトウェアや、同報系市町村防災行政無線により、屋外スピーカーで津波情報や地震に対する警戒を広域に呼びかける手法、感震計により強い揺れを観測した際に警告を発する手法もある。また、NHKなどでは津波警報発表時や東海地震警戒宣言発表時に緊急警報放送を行っている。

地震の揺れが到達する前の対策として、日本においては現在、一部の鉄道でユレダスが運用されている。また、これまでも一部で運用されてきたが、2007年10月からは一般に向けた緊急地震速報の運用が開始された。

地震による災害時には、電話など通信の混雑への対策として災害用伝言ダイヤルが設置されるなどしている。携帯電話・PHSにおいても災害用伝言板サービス等の同様のウェブ上サービスがある。また、自治体や民間が協力して臨時災害放送局を設置し、被災者への情報提供が行われた例もある。



[編集] 地震発生前の対策

これらの被害を防ぐため、耐震補強により建造物の耐震性を高めるなどの対策がとられる。日本においては、建築基準法などにより耐震基準が定められている。また、より硬い地盤に建物の基礎を固定することで耐震性を高める方法もある。保険業界や企業を中心に、地震による被害のリスクを算定する地震PMLという手法も普及している。

また、地震への防災や備えの目安として、地盤の揺れやすさや地震動に見舞われる確率といった地図も作成されている。危険度が高い地域では、啓発による被害軽減の効果などが期待されている。しかし、危険度が低い地域では安心感が生まれたり防災意識の低下につながったりするのではないかという批判や、海底断層をはじめとした基礎データの不足、確率論による予測の限界といった問題もある。

また、原子力発電所をはじめとして、揺れによる災害の危険性が高い建造物については、建設の前の環境アセスメントの段階で、地盤の強度や周囲の断層の位置・活動度などを調査し、なるべくリスクの低い場所に立地するような対策が取られている。これについては、調査が十分に行われない可能性、未知の断層や新たな断層が発生する可能性もあることが問題となっている。

普段においては、防災訓練や防災用品(非常食や非常袋など)の準備などが代表的な対策として挙げられる。また、過去の災害の例を学んだり体験談を聴いたりすることも有用であるとされ、教育や地域において講演会として行われたり、書籍となったり、インターネット上で公開されたりしている。



[編集] 過去に発生した地震



1906年サンフランシスコ地震後の町の様子。建物が崩れ、煙が上がっている。

スマトラ島沖地震による津波に襲われたスマトラ島の町の様子。水や流木が町のほとんどを覆っている。世界の年間平均地震発生回数

マグニチュード 回数

8.0以上 1 (注1)

7.0〜7.9 17 (注2)

6.0〜6.9 134 (注2)

5.0〜5.9 1,319 (注2)

4.0〜4.9 13,000 (注3)

3.0〜3.9 130,000 (注3)

2.0〜2.9 1,300,000 (注3)

USGSの資料による。

注1:1900年以降の平均。

注2:1990年以降の平均。

注3:推定。



過去に発生した世界中の地震の詳細なリスト、規模や被害による順位については地震の年表を参照。

有史以来、世界各地で無数の地震が発生している。その中で、多くの被害を出した地震も多数発生している。日本では、1960年以降に気象庁が正式に命名した地震が、現在約30個あるほか、それ以前にも多数の被害地震が発生している。

世界では、1年間にM5以上の地震が平均約1,500回、M2以上の地震が平均145万回発生している。数の上では、世界で発生する地震の1割程度が日本付近で発生しているといわれている。1996年から2005年の期間中では、世界で発生したM6以上の地震の2割が日本で発生した[2]。また、1980年から1999年までの20年間で、1年当たり平均約280人が地震により亡くなっている[3]。 日本で地震、震災として多く取り上げられる地震として、1923年の関東大震災がある。この地震では、日本の歴史上最多となる10万人以上の死者を出し、首都東京を含む広い範囲に被害を与え、火災の被害も大きかった。1995年の兵庫県南部地震は都市部を襲った地震の典型例であり、その後の建築基準法の見直しや防災意識の変化などに大きな影響を与えた。2004年の新潟県中越地震では震災後の避難生活に関する問題が大きく取り上げられるようになった。また世界的には、津波により多くの死者を出した2004年のスマトラ島沖地震などがある。

人類史上、死者が最も多かった地震は、1556年1月23日に中国 陝西省で発生した華県地震で、約83万人が死亡した。これは2番目に多い唐山地震の公式統計による死者数の3倍以上である。また、人類史上、最も規模が大きかった地震は、1960年5月22日にチリ西岸で発生したチリ地震で、マグニチュードモーメントマグニチュード(Mw)で9.5だった。

地震の発生の頻度が過去と比べて増加したかどうかということは、局地的に見ることはできても、全世界的に見ることは現状では難しい。地震の発生数のデータは、地震計の精度の向上や観測点のネットワークの状況などに左右される。世界的に見ても目が細かい日本の高感度地震観測網でも1990年代後半以降のデータであり、世界を見ても微小地震・極微小地震を捉えられるような観測網は少なく、海底となればその傾向は顕著である。



[編集] 地震予知

地震による被害を軽減するために、人類は揺れに強い建物を造る努力を続け、現在では大地震に耐えられるような建物を造ることができるまでになった。一方で、地震の発生時期を予測して被害を軽減しようと、数千年前から地震予知を試みてきた。しかし現在でも、一般には、地震の発生を事前に「正確に」予知することは困難とされている。

ひと口に地震の予知と言っても、そこにはさまざまな範囲や形式が考えられる。端的に言って「何月何日の何時に、何処でどれだけの規模の地震が発生する」といった範囲・形式での予知を、科学的な手段による根拠を提示して行うことは、少なくとも現時点では不可能と言ってよい。

地震調査研究本部の作成した「確率論的地震動予測地図の試作版(地域限定−西日本)平成16年3月25日(地震調査研究本部、平成16年3月25日)」(参考「「全国を概観した地震動予測地図」報告書」)では、東海・東南海・南海などで30年以内に40〜50%(50年以内なら80%以上)の確率で地震が起こると試算している。これらの地域では長さ数百kmの断層全体が一度に動き、広範囲に被害が及ぶような地震が度々起きたことが判っているが、「次」がいつ起きるのかはわからない。

地震学者や行政が公式に認め取り組んでいるのは、ほとんどが地学的な見地に基づいた地震予知である。また一部の研究者は従来の地学的手法とは異なる観測方法を用いた地震予知を研究している。これらのほかに、地震前に広く見られると言われている種々の前兆現象(宏観異常現象)を予知に用いる研究をする人もいるが、地震学者からはほとんど認められていない。



[編集] 広く認識されている地震予知

地学的な理解の概略としては、地殻にたまったエネルギーがひずみとして蓄積され、それが数秒〜数分という短時間に一気に解放される現象が地震である。(もっとも数日〜数ヶ月に渡って解放されるスロースリップ現象なども、広義の地震には含まれる。)そのため、地震学者はまず地殻や断層のひずみ(変形)の量、方向などを検証し、蓄積されていると考えられるエネルギーから各断層についてそれぞれのデータを集積し、切迫度や規模などを推測する。

この各種のデータや知見の精度を向上させることによって、既知の断層に関してはその切迫度(地震発生が近いかどうか)や、活動した際に解放され得るエネルギーを推測することは可能であり、断層が活動した際(地震が発生した際)の脅威度の比較や被害の算定、対策などに繋げていくことができる。

ただし、特定の断層にたまったエネルギー量がいつ地震を起こすほどになるかを判定することは容易ではない。地震は岩石の破壊によって生じる現象であるが、そもそも破壊は偶然に依存することが関係している。地震エネルギーの蓄積を弓の弦の張りに例えるなら、「弓の弦がどの程度張っているか」、つまりどの程度地震エネルギーが蓄積しているかを推測することは、既知の観測体制の整った断層に対しては、現時点でもある程度は可能である。一方、「張り詰めた弦がいつ切れるのか」、つまり特定の地殻や断層に蓄積されたエネルギーが実際にいつ解放され地震を起こすかを判定することは容易ではない。地震学者などが一般的に可能と認める「地震予知」は、このような偶然性の困難があることを前提にしている。

現実的な地震予知の可能性については、茂木清夫(東京大学名誉教授、前地震予知連絡会会長)が指摘した。すなわち、1944年の東南海地震の直前に静岡県掛川市で実施されていた水準測量で、地震の直前に異常な変動が観測されたというものである。これはその後、「東海地震は予知可能」との国の見解や世論へと発展した。一方で鷺谷威(名古屋大学准教授)など、その水準測量データや解釈に疑問を持つ科学者も多い。

日本以外では、地震予知に成功したという話がまれに聞かれる。たとえば1975年に中国で発生した海城地震地震予知に成功し多くの人命が救われた例である。しかし翌1976年の唐山地震では、発生する可能性が高まっていることが分かっていたものの決定的な情報がないまま結局予知することができず、約24万人が死亡した。ギリシャでは地震予知に成功した例がある(ある科学者の独自の警告であり、政府は予知を認めなかった)が、成功例はその1回のみで、同国ではその後もたびたび被害地震に見舞われている。USGSでは多数のボアホール歪計や地震計を設置してアメリカパークフィールド地震の予知を行った経緯があるが、2003年の地震予知に失敗している。

こうした例が示すように、地震予知は場合によっては可能だが、地震を「確実に」予知するということは極めて困難であるというのが地震学者の一般的な認識である。

南海地震

例えば、南海トラフの沈みこみを原因とする南海地震の場合、断層(トラフ)に近い室戸岬はプレートの沈み込みに引きずられて普段から少しずつ沈み続け、地震の折に一気に跳ね上がる。トラフから離れた高知市街では、室戸の沈みこみに対して浮き上がり続け、地震の際に一気に沈下する。

これらの傾向はこれまで同地で記録された殆どの地震について一定している。それゆえ、沈みこみが鈍化・停止したときは、地震発生が近い可能性がある。南海地震については道後温泉の水位変化などの記録も蓄積されており、地殻変動の観測以外にも予知に関する補助的な情報が豊富である。

東海地震

また近い将来に発生するとされている東海地震については、日本の行政・研究者が予知の可能性が高いと考え、観測体制・判定会の開催・警戒宣言の発令等の手順が明確にされている。

1978年に地震学者の提言を受けて、国が「大規模地震対策特別措置法」を制定し、それ以来静岡県周辺で重点的に地震地殻変動の観測が実施されている。東海地震は、世界で初めて「偶然ではなく狙って予知する」ことができるのではないかと期待されている。

[編集] 新しい観測手法

電磁波系研究(電磁気地震学)など

電磁力学的手法

赤外線

地電流法

VAN法(ギリシャで研究されている;ギリシャの3名の地震学者Panayotis Varotsos, Kessar Alexopoulos and Kostas Nomikosの頭文字から命名されている)

ULF法(VAN法の交流版)

中波帯域(1kHz)

超短波・極超短波

電離層の状態

地中水脈に含まれるラドン放射

電磁波系研究に関しては、次のような仮説から行われている。地殻内における歪みの蓄積によって、地殻崩壊が起こるとき、石英花崗岩(主成分はSi)などが伸縮を起こすことによって、圧電効果により電流や電磁波を生じさせる。実際に岩石に圧力を掛けると、電磁波が観測されることが実験により確認されており、この地震前に生じる電磁波を観測することによって、地震の早期警戒に役立てようとする研究であるとされる。特に、大規模地震などの場合には、地殻の崩壊体積が大きくなる。よって、その分だけ地殻内に生じる電流量が大きくなるために、ある程度の精度の機器ならば検出が可能である可能性がある。ただし、大規模地震においては、地殻の崩壊はある程度の範囲に分散するため、震央部の特定は難しいとされる。また、後述する宏観異常現象もこの地震前の異常電波を動物等が感じ取り、異常行動を取ったとする説もあり、実験で人為的に発生させた電磁波を発生させると、動物等が反応し、異常行動を取る事も確認されている。

実用化された地震予知(VAN法)

この電磁波を用いた地震予知で初めて実用化され、大きな成果を挙げているのがVAN法であり、複数の観測点で電磁波異常を包括的に計測し、実用上問題ない精度で発生規模・震源域・発生日時を予測することに成功している。具体的には概ね1ヶ月以内に発生する地震について、地震エネルギーもマグニチュード1前後の誤差で予知し、近隣住民に警戒を呼びかけることで被害の軽減につなげている。ただしVAN法は現時点ではギリシア固有の地質性状に特化した予知法であり、日本をはじめとする諸外国で採用するためには研究の発展が不可欠である。

[編集] 宏観異常現象による地震予知

俗に「地震前にはナマズが暴れる」「動物などが奇妙な行動をとる」といった言い習わしがある。例えば微振動や地鳴り、低周波の振動などを敏感な動物が感知して騒ぐといった説明も、可能性としては考えることができる。あるいは、地電流の異常やそれに伴う地磁気の変動なども観測されうるといった主張もある。しかし、これらの仮説や言い伝えの妥当性や信頼性、「地震予知」の根拠や方法などとして実際に役立てられるかどうかについては、全くの別問題である。

この他にも、地震が発生する前に現われるとされる気象現象や生物の行動の変化などを宏観異常現象としてとらえ、地震を予知しようとする試みがあるが、その殆どがいまだその妥当性やメカニズムに関して一般的に論ずることのできる段階にはない。

特に地震雲については、岩盤の崩壊により電磁波が生じて雲を作るとされる。しかし、雲の形と地震発生との関係が全く不明、また雲のほとんどが気象状況により発生のメカニズムが証明できるもので、否定的見解が多数派である。気象庁地震予知情報課も「占いと同レベル」としている。新潟県中越地震の直後に「地震雲では?」と寄せられた情報のほとんどは、飛行機雲、高積雲、巻き雲などだったという。世間一般で言われる地震雲は、全て気象学上分類される雲のどれかに該当するという考えもある。

前述したように、中国では1975年に発生した海城地震において、国家地震局が動物の行動異常による直前地震予知に成功し、死傷者の軽減に貢献した事例が有ると言われている。しかし、どんな動物が何匹、何時騒いだのかは公表されていない。その翌年に発生した唐山地震においては同方法による直前地震予知は失敗しており、以後の検証も行われていない。



[編集] トリガーによる推定

地震を発生させたり、断層への応力変化をもたらすトリガー(引き金)を予測したり観測したりすることによって、地震が発生する時期、また地震が発生しやすい時期を推定するという方法がある。主なものとして、月や太陽(月齢・潮汐を含む)、惑星などの諸天体と地球との位置関係や距離関係により起こるというものや、太陽活動によるもの、低気圧や高気圧などによる気圧変化に伴うもの、周辺地域での地質活動(火山活動、地震)によるものなどがある。こちらについても、宏観異常現象と同様、未科学との区別の難しさ、研究や予測に際する基礎的知識の有無、信頼性、因果関係の解明度といった諸問題がある。



[編集] 地震予知の問題点

日本では1997年から2006年までの10年間に阪神淡路大震災を含め27回の大地震が発生したが、予知に成功したケースは1度も無かった。日本で「現状の地震予知疑似科学の領域である」と揶揄されるのはこの実績の無さが原因とされる。しかしながら、もし地震警報が出た場合、重大な社会的影響があるので、慎重にならざるを得ない事情もある。



[編集] 日本における地震対策と体制



避難場所の案内図日本付近では4つのプレートが衝突し、約2,000以上の活断層が有ると言われており、調査が進むにつれて年々その位置は変わり、数は増えている。どこで地震が発生して被害が出てもおかしくない。地震が少ない国に比べて、個人にとっても社会にとっても、日本は地震被害による政治・経済・社会的なリスクが非常に高い国である。そのため、個人と集団がともに地震の被害を抑えるための対策をとることが必要である。



[編集] 個人で出来る地震対策

地震の適切な対策を未然に講じておけば、被害を最小限にすることが出来る。

阪神・淡路大震災では、死者6,000人のうち、約5,000人が木造住宅の倒壊によって圧死(その多くが即死)したとされる。したがって、出来るだけ新しい建築基準法に沿った、耐震性の高い住宅に住むことが望ましい。特に、柱を土台と連結していない古い木造住宅、重い瓦屋根は地震の時圧死の危険があるといわれる。

対策としては、柱を土台とボルトなどで連結することや、骨組みへの筋交いの追加などの補強、瓦屋根よりも軽量な新建材にすることが有効といわれる。既設の住宅については、耐震診断や補強のための費用の一部が、自治体から補助される場合があるので、自治体に確認すると良い。

建物が地震に耐えられても、タンスなど室内の家具が転倒することがある。家具の転倒を防止するために、天井と家具の上部に渡すつっかえ棒や、家具自体を柱や梁にL字金具で固定してしまう方法がある。

避難場所としては、市町村で公園や学校などが指定されているが、市町村の公務員が全市民の住宅からの避難経路を全て把握している訳ではないので、本当に自分の住宅から避難する場合に適切な場所かどうか、実際に歩いて確認をする必要がある。多くの場合、学校、新築のマンション、新築の住宅等が近くにあれば安全に避難が出来る。



[編集] 集団による地震対策

集団(政府・行政)による地震対策を見てみると、日本には地震に関する組織が比較的多い。ただし、業務が重複している部分も見受けられており、研究者の間でもこれらの組織の役割の違いを明確に説明することは難しいとされている。アメリカ合衆国のアメリカ地質調査所(USGS)は下に掲げているような役割をほぼ一元的に担っている。

地震予知総合研究振興会

地震予知と防災に関する研究を目的として、1981年1月22日に設立された財団法人。下部組織に地震防災評価機構、地震調査研究センター、東濃地震科学研究所がある。

この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。

地震調査研究推進本部

1995年の阪神・淡路大震災から、1995年7月に制定された地震防災対策特別措置法に基づいて設置された組織である(略称「推本」)。

地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進について総合的かつ基本的な施策を立案することなどを目的としている(同法第7条第2項)。発足当時は、総理府に設置されていたが、中央省庁再編によって文部科学省へ移管された。本部長は文部科学大臣である。本部の下に政策委員会と地震調査委員会(2007年現在の委員長は阿部勝征地震調査研究センター所長)が設置されている。

政策委員会は関係各省庁の局長級幹部、地方自治体の長、学識経験者によって構成されており、各省庁の地震に関する研究及び調査観測計画の調整、予算配分の方針、調査の成果を社会に広報するための方針など審議している。定められた観測計画に基づき、強震計、高感度地震計、GPS連続観測点が全国に各1000点ずつ整備された。この観測体制は世界随一である。また、地方自治体に交付金を配分し、活断層や地下構造の調査をさせている。

地震調査委員会では国立大学法人独立行政法人などの研究者が毎月集まり、国内の地震活動の状況について検討し、評価文を毎回公表している。大地震が発生した場合には一両日中に臨時会が招集され、検討が行われる。また、地震調査委員会の下に設置される長期評価部会では、全国の98の主要活断層や主な海溝型地震についてその危険性を検討し、発生確率や規模などを公表している。同じく強震動評価部会では、長期評価部会での評価に基づき、それらの地震が実際に発生した場合の揺れの大きさをコンピュータシミュレーションによって試算した地震動予測地図を作成する作業を進めている。2005年3月末には全国を概観した地震動予測地図の第一版が完成し、各地域で将来見舞われる地震動の大きさが把握できるようになった。これは「地震ハザードステーション」でも公開されている。

中央防災会議

災害対策基本法に基づいて設置された内閣総理大臣を長とする機関であり、事務局は内閣府である。

会議は内閣総理大臣、全ての閣僚、指定公共機関の長4名(2007年現在は日本銀行総裁日本赤十字社社長、NHK会長、NTT社長)及び学識経験者4名(2007年現在は阿部勝征地震調査研究センター所長、重川希志依富士常葉大学教授、石川嘉延静岡県知事、秋本敏文日本消防協会理事長)によって構成されている。国の防災基本計画の策定や重要施策の決定、大規模地震対策特別措置法に基づく東海地震地震防災対策強化地域の指定(2002年4月見直し)、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく地震防災対策推進地域の指定(2003年12月)などを行っている。地震のほかにも火山災害や風水害などの政策も担っている。

気象庁

気象業務法に基づいて地震観測を行って、マグニチュードや震度などの地震情報を発表している。

また、東海地震予知のための地震防災対策強化地域判定会(通称判定会)を設置しており、気象庁が行っている前兆現象の観測結果から東海地震の発生が予知された場合には内閣に報告し、内閣総理大臣が警戒宣言を発令する。判定会の会長は2008年4月現在阿部勝征東京大学名誉教授である。1996年〜2008年3月までは溝上恵

© 2014 SHOICHI KASUO, ALL RIGHTS RESERVED.

記事、文章、画像等を含む、すべての著作物の盗用&不正利用を禁止します。