全身に浴びる、突き抜ける
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もはや恐怖である。
コップを持つ腕が震え、いい具合に水を飲めない。
いつも通りでは足りないことを重々に承知している。技術も体力も低下している状況は身を持って分かっていた。しかし無理やりに動いても身体がついてこないであろう。丁寧にかつ慎重に。
練習時間も普段通りに抑えることにした。長時間やるのは簡単だが、それがすなわちいい結果には繋がらないと考えたから。短時間でも集中して濃度を高める。
しかし、いくら集中して濃度を高めようと努めても不安が残る。
縄の軌道は相変わらずの不安定。そもそもたった1時間程度の練習で不安を取り去るなんてのが、虫が良すぎるのだろう。
積み重ねてきた日々があってこその自信。付け焼き刃を何枚重ねても錆が見える。
自らの不十分を承知していても、時間とともに飛び出す。
ステージの恐怖を全身に浴びるために。
全身に浴びる恐怖と歓声は、明日につながって行くから。