シルクドゥソレイユ創設以来、最大の岐路【2012年ショック】
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シルクドゥソレイユ・バブルは崩壊したのだろう。
そう思わせるニュースが一気に飛び込んできた。
IRISが来年の1月19日をもってクローズするらしい。
このShowはまだ2年もたっていない新しいShowで、サーカス界の名だたる有名人が出演している。
それでもなお、2年を待たずしてクローズしてしまう。
ただ社内では実しやかに噂は流れていた。
数年以内にIRISはクローズするから早めに見に行った方がいい、のような。
まさかこんなに早く現実になってしまうとは驚きだ。
これまで、
ZEDを皮切りにして、常設は無くならないという神話が崩壊。
なし崩し的にマカオのZAIA、ラスベガスのELVIS、そして今回のIRIS。
Showの内容はいずれも素晴らしいものだったのにも関わらず、集客をできなかったという理由でクローズにまで追い込まれてしまった。
以前このブログでもZEDの閉幕に伴う激震を記事で書いたけど、あれは幕開けにしか過ぎなかったということだろうか。
Showで働く人は規模にもよるけど、アーティストを含めて大体100-150人。
1つの閉鎖でこれだけの人が仕事を失う。
加えて売り上げの不振でかさんだ赤字の相殺も、他のShowを始め会社全体に重くのしかかってくる。
下世話な話だけど、ちょっと試算してみたいと思う。
完全なる個人的な予想なので、ふわーっと見てください。
仮にシアターの客席数が2000人、
チケット1枚当たりの金額を100ドル、
裏方を含めたスタッフ数を150人、
そのスタッフ人件費を1人当たり年間56,000ドル
(レジャー施設業界の平均年収を参考、1ドル100円)、
年間上演回数480回とした場合、
どのような感じで経営が行われているのか。
まず1回の売り上げ収入は単純に2000x100で20万ドル。
それが年間で480回を上演して9600万ドル。
ただスポンサーとの契約によってはこの金額を折半することもあるらしい。
仮に折半したとしたら4800万ドル
これが全体収入。
次に支出は人件費が150x56,000で840万ドル、でもここに保険料とかが入るから大体倍かかるという。
すると1640万ドル。
これ以外に広告費や維持費などを合わせると年間で2000万ドルはかかるだろう。
非常に単純な計算ではあるけど、
これを差し引きして4800(万ドル)−2000(万ドル)=2800万ドル
ということになる。
ここからが問題だ。これが満席で毎回公演を行った場合。
仮にこれが8割、6割の動員数となればどうなるだろうか。
5割を割り込んだらやばい、ってのは簡単な算数でも十分わかる。
でも現実に閉鎖に追い込まれたShowでは、1−2割というレベルだったとか。
もちろんグッツの売り上げとか他の事業での収入が多くあるとは思うけど、
客単価、母数という意味Showの動員数ってのが一番の財源になっているのは間違いない。
今後はこれらの赤字財政を、会社全体でカバーしてくことになる。
そのしわ寄せは色々な場所に現れる。
先日のミーティングでは早速、会社の上層部の解雇が発表された。
この状況で真っ先に上層部の縮小に取りかかるのは素晴らしいことだけど、
もはやこれだけでは不十分なレベルに達しているのは間違いない。
身近なところでも3名の人員削減が昨日発表され、事務関連や裏方の人たちへの影響は真っ先に現れている。
実際に経営状況の悪いShowでは最終手段的にアーティストの削減も行われるらしく、それでもなお経営が難しい場合は閉鎖になる。
今後のシルクがどのような方向に転換していくかはわからない。
設立以来の岐路にあるのは間違いない。
3年前、年間で3つものShowを発表したのが異常だった。
これからしばらくは会社にとっても冬の時代に入ることが予想されるが、アーティストはこれまでのように良いShowを演じることに力を注ぐしかできない。
良いShowを演じるアーティストと、経営陣のスクラムがシルク冬の時代を乗り切る最善策だ。
だが。。。。
現実に、明日の契約が不透明な状況。
合理主義の人々がどこまで力を注いでいくことができるのだろうか。
加えて福利厚生も少しずつ削られ、アリーナShowでは家族を連れて行くことができなくなった。
今後はアーティストだけではなく、
シルク全関係者が一丸となって乗り切る、そう思える環境を整えるのが必要なのではないだろうか。